一般相対論(重力理論)

一般相対論における時空像はまた少し異なる。一般時空では距離や時刻は無限小の領域においてしか定義することができない。離れた2点の距離や時間を厳密で一意に定義する操作的手法は存在しない。代わりに時間と空間が混ざり合った世界間隔が異なる時空点の事象を関連づける定義可能量となる。「時間」や「空間」という概念が近似的に成立するのは、安定して穏やかな時空のみだ。時空が激しく変動し泡だっている場合、ある2点間の距離を計測することや、2つの時計を比較することは意味を成さない。

一般相対論まで時空を拡張しても因果律や時間秩序は局所的(無限小の範囲)では成立するが、大域的な分別を保証するものではない。一般相対論においては時間がループするような解、大域的な時間軸が定義できない解、そのような解は無数に存在する。この状況においては、過去や未来は意味を喪失する。大域的な時間順序を保障することができないのだ。

もちろん、そのような時空が理論的に可能であるというだけであって、現実に観測されている時空はほとんどミンコフスキー的であり時間軸もほぼ定義できる。