ローレンツスカラーとしての固有質量(相対性理論)

 m^2=p^{\mu}p_{\mu}=E^2-p^2

物体にはその運動を特徴付ける固有の物理量mが存在し、あらゆる慣性系に対して不変である。

特殊相対性理論は多くの場合大学の教養課程でならうことになるだろう。この辺からフォローする人口がだんだん少なくなる。パンピー向けの絵本から専門書や論文まで記述の面密度は桁違いで、何の説明も無しに光速に近づくと質量が増えるだとか、質量は保存しないとか、E=mc^2だとか初学者を混乱させる記述が吹き込まれ、混乱した人間がまた混乱を招く表現を仲間に伝えたりするわけで、(ニュートン力学/高校物理の時と比べて)質量概念が人によって多種多様になってくる。いわゆる"トンデモ本"と呼ばれるユニークな思念群や、ちょっと背伸びした人間が無駄に形而上学的な思索実験をブログでしていたりと非常に豊穣な世界だ。

4元ベクトルとローレンツスカラーの概念が確立すると大体イメージは収束する。学部生レベルでは(場合によっては院生でも)、質量概念を4元運動量の自乗に拠り所を求める場合が多い。スカラー不変量というのは非常に強力なパラダイムであり、固定化しやすい。