セファイド変光星について

セファイドだけでなく、脈動変光星の類いはよく爆発するでも減衰するでもなく長い期間にわたって振動状態を保てるなぁと感心する。各パラメタの絶妙なバランスといった感じだが、何万年も安定して自発的に膨張と収縮を繰り返すんだぜ。減衰しない振動は一見するとエントロピー的に可笑しいように思うかもしれないが、その辺の問題は無い。

細かい仕組みはむかし輪講で読んだ気がするがすっかりおぼえていない。何かの要因で透明度が下がったりすると熱をせきとめて楽しいことになるとかそんな話だった気がする。安定な恒星は基本的に比熱が負だが、イオン化機構など部分的に正の部分が存在すると不安定になり振動現象や爆発が生じることがある。重力熱力学的不安定が核融合の起きているコアに近い部分だと大変なことになるが外縁部で起きているうちは大規模な変動にはならない。

太陽が爆発しないで安定に存在していることは"比熱が負"という簡単な条件だけで説明できるほど単純ではない。特に進化した終末段階の恒星では様々な安定化機構と不安定化機構がせめぎあっている。ヘリウムフラッシュ、コアの縮退、外層部の膨張、核反応の温度依存性、ニュートリノによるロス、炭素燃焼、そして重力崩壊。単純な水素ガス塊に思える恒星も結構多彩な世界だ。