ヒトは赤緑を識別して何が楽しいのか

本を読んでいて哺乳類が緑と赤の区別を獲得したのは3000万年前との話を知る。恐竜がいた頃には夜行性だった哺乳類に2つの色の区別は余計なものだった。単に私が恩恵に気づいていないだけかも知れないが、今でも特にメリットは存在しない。

上の図は色を知覚する錐体細胞の感度曲線だが赤と緑は極めて近い。こんな微妙な波長の違いに大きな色コントラストを与えるなんて生物は実に適当だ。同じような生活をする霊長類の中でも、赤緑の区別をしているものといないものでどちらか一方が淘汰されたというわけではないので、適応行動上はどうでもいい設定のようだ。適応度に貢献しない属性に関する生物の無頓着っぷりは異常、信号機だとか路線図だとか警告灯だとか、やたらとカラーリングで識別したがる現代社会はともかく、自然界において赤緑の区別はさほど重要視すべき要素にはならない。

そんなこんなで「鳥類や昆虫の多くが保有する紫外線域の色覚があれば、蝶や野鳥に描かれた麗美典雅な紋様を一部だけでなく全波長域で見れるのに」みたいなことをつれつれ適当に考えつつ、「そういえばこのサイトはユニバーサルデザイン的にかなーり問題があるな」といまさらながら気づく。高齢者や色覚マイノリティのことを考えると一般に「赤」と「黄」はタブー。ただ、色覚については4つ以上の原色が見える方から完全モノトーンまで多様なタイプがあって、一概にこれが大丈夫でこれがダメということはできない。旧サイトのようにモノトーンが無難ではある。