青森でフルMOX炉の話とか

青森の大間でMOXだけを燃料にした原子炉を着工とのニュースが出ていた。いまごろ「もんじゅ」でウハウハしているつもりだったのに、大量に溜め込んだプルトニウムをこのまま抱えるのは国際的にも色々と大人の事情があるのでという動機ぐらいしか思い浮かばないが、海を渡った先に幾らでも引き取ってくれる将軍様ならいる気がする。こんなものに手を出している段階で原子力政策も焼きが回ったなといった感じだが、この成田空港のようなねじれっぷりと、これからのことを考えると「お疲れ様」といったところだ。

すこし前の話になるがノボースチ・ロシア通信社の記事を読んでいたら、ロシアのアトムエネルゴプロムと東芝が同盟を組むという話が出ていた。東芝といえばウエスティングハウスを買収して「2種類の原子炉が作れるのはわが社だけであり、米国市場をはじめとした世界で主導権を握る。」とこの前NHKで意気込んでいたがさらに巨大化するようで、原子力関連産業がスーパーメジャー化する速さには驚かされる。

21世紀は原子力・石炭およびバイオマスが存在感を増すといわれていたが、実際に米国や欧州で原子力回帰が進みつつある。炉の高出力化も進んでおり北欧のフィンランドに世界最大出力の1.7GW級のEPRが建設されている他、ドイツでも脱原子力政策が再び議論を呼んでいる。また新興国でも原子炉の需要は増大しており今後20年で100基以上の建設が予定されている。バイオマスの方も目下大繁盛で穀物価格が高騰中だ。

ところで東芝が食べたウエスティングハウスってかなり歴史のある会社だ。交流直流闘争でエジソンと泥沼の争いを繰り広げていたイメージしか無いが、伝記や歴史書にでてきた老舗がいまや東芝の傘下ということに不思議な感慨を覚える。某動画共有サイトで万年時計がいつまでたっても消えないことも不思議だけど。