限定核戦争と核の冬とオゾン層

'Regional' Nuclear War Would Cause Worldwide Destruction
最新シミュレーションモデルで「限定核戦争による影響」を予測

今回のMills博士の研究報告では、米国大気研究センターによるモデルを使用し、500万トンの黒色炭素(煤)が大気中に放出された場合の影響について調査している。

一群の都市が一斉に炎上すれば、それによって各都市の気候がそれぞれに変化し、煤は約6000メートル上空にまで吹き上げられることが明らかとなった。煤煙はいったんこれほどの高度に吹き上げられると、太陽光によって温められ、さらに地表から約8万メートルの高さにまで上昇するという。

この間、暖められた煤がさまざまな大気の変化を引き起こし、最終的に、成層圏で地球を保護する日よけとして機能しているオゾンが大きく減少する。

研究では、中間緯度地域で25%から45%、極地域上空では50%から70%、オゾン層が減少すると示された。オゾン層の「穴」として知られるこのオゾンの減少は、南極上空の有名なオゾンホールの何倍もの大きさになるという。

限定あるいは全面核戦争に於ける「核の冬」のシミュレーションの最大の不定性は都市の炎上などによって上空に巻き上げられる煤の量を推定することだろう。一旦、何百万トンという微粒子が上層大気にあがってしまったと仮定すれば、あとはその量と分布や季節に応じた気候変動が起こる。シミュレーションで用いている500万トンの炭素が起こす気候変動は、(やや過大評価な気もするが)過去の火山活動で起きた気候変動のスケール感覚から判断する限りでは大体納得できる規模だ。

ぼんやりとした霞が地球を覆い、気候は大きな擾乱を受ける。気温は低下し農作物は壊滅する。食料は高騰し飢餓が起こる。破壊されたオゾン層からは大量の紫外線が降り注ぎ、大気中にばら撒かれた窒素酸化物や硫黄酸化物酸性雨の原因となる。(ちなみにオゾン層の破壊については割と少ないとの説もある。)

あとは500万トンという数値が妥当なオーダーかだが、これについては実際に都市で炸裂した事例(2例だが)をより丁寧に勉強する必要がある。少なくとも今の段階で、これについて判断するだけの知識は持ち合わせていない。

様々な条件で実際の都市を吹き飛ばして測定するという狂気の沙汰は不可能な上に都市の炎上は複雑な要素が絡み合うため、イジェクタの正確な予想は困難でありそれ以上のところはある程度政治で決まってくる。実際に何十という都市で黒煙が上がる事態になってしまえばいやでもシミュレーション精度は向上するが、そんなことは誰も望まないだろうよ。

論文をチラッと流し読みしたけど、150Tg(=Mt)のケースで、大陸の内陸部だと気温が30度ぐらい低下しているね。住んでいる人大丈夫なのかこれ?日本は15度くらい低下の様子だ。それなりの土地がツンドラ気候となるわけで稲作は不可能、何というか7万5000年前に人類を数千人にまで追い込んだとされるトバの大噴火よりひどい結果だがそこまでいくのか?