毎分38ミリ:地球の観測史上最も激しい豪雨


最近雨が多い。場所によっては100mm/hを超えたというニュースを聞く。

それはさておき、1970年にカリブ海グアドループで観測された1分間に38mmの猛雨がどのようなメカニズムで発生したのか前から気になっている。1時間あたり2300ミリというTASのような雨だ。この勢いが24時間続けば雨量は55メートルに達する。最初この記録をみたとき3.8mm/min(230mm/h)の間違いだと思った。

この1/100にあたる23mm/hの雨ですら一般に土砂降りとされる。多くの場合雷鳴を伴い、道路は水浸で、傘を持っていても濡れるので外に出たくない雨だ。私が経験したのはせいぜい50mm/hまで、このくらいになると水害もしばしば発生するようになり*1、生々しい傷跡が報道されることもある。100mm/hを超えると記録的な集中豪雨であり日本の観測史上最高は153mm/hだ。

この10倍を超える2300mm/hとなると、どのような条件で達成できるのだろう。

まず、この記録が1分間という最大瞬間風速的なものであることがあげられる。最も激しい豪雨は1時間も息がもたない。100mm/h以上の豪雨なら最大ピークの瞬間(10分平均)は250mm/hぐらいに達することもある。ただ、記録には1桁及ばない。いくら1分平均でも、最強の集中豪雨のピーク値を一桁上回るのは常軌を逸している。

次に水の量から。秒速10メートルという非常に高速な雨を仮定する。そして1分間落下量の600メートルで38mmの雨が含まれているとすると、63g/m^3になる。一方で発達した積乱雲が保持できる雲水量は高密度部位で約5g/m^3とされる。

ちゃんと勉強したわけではないが、尋常ならざることが起きていることは確かだろう。これほど濃密な雨を形成するには普通の方法ではまず無理、1〜2分で積乱雲がその水分のかなりを喪失するような異常雨だが、雨水が一分間で落下できる距離は限られている。だれか気象に詳しい人いないかな。

2300mm/hを浴室で再現実験してみようと思ったけど、2m四方の空間で毎分152リットルの水が必要となり家庭の水道ではちょっと無理がある*2

とりあえず、Youtubeで300mm/h(10分平均)の映像を見たけど、一様な轟音とビカビカ光るのっぺりとした灰色が続いているだけでよくわからなかった。雷は鳴っているようだけど、視界ゼロでどこで起きているのかすらわからない。

*1:24時間降水のほうが重要になる

*2:狭い面積でいいのなら可能