海外ですばる望遠鏡が自動車会社の寄贈望遠鏡だと思われている件について



「日本には、自然科学振興にとても熱心な自動車会社があってうらやましい。」

日本で「すばる」というと第一義的にプレアデス星団のことを指すが、海外で「SUBARU」というと一般には富士重工のブランドを意味する。"SUBARU Telescope"と聞いて、プレアデス星団を思い浮かべる外国人はかなり特殊な部類だ。実際、富士重工のところにすばる望遠鏡に関する郵便物がそれなりの頻度で舞い込むそうだ。

基礎研究に何百億と寄付を行う社会貢献に熱心な恐るべき日本企業、誤解ではあるが、一部で凄いイメージが流布している。図らずも、ゼロコストのCSRアピールだ。

この話をはじめて聞いたとき、望遠鏡の命名権の売却もしくは、民間企業による次世代望遠鏡の可能性をすこしだけ空想した。文科省に頼ってばかりでは未来が切り開けないこの時代、外部獲得資金が重要とはよく言われる。資産家や財団の寄付事業の形として「望遠鏡」という選択肢はあるだろうか。

例えば「ハワイのニコン望遠鏡、宇宙でもっとも遠い銀河の記録を更新」といったニュースが流れ、あるいは子供達が科学雑誌や本で○○○望遠鏡の成果を読んで育つことに、税金対策だけでなく企業の技術力や社会的貢献をアピールできる投資対象として、他にはない価値を見いだしていただける企業はあるだろうか。とくにカメラや電子機械系の企業には期待している。

ほんのかすかな希望として、その構想はいまも頭の片隅にある。