もうすこし一般的な時空論と因果律

因果律の具体的形式はある"状態"を決定する情報が何によって決定されると考えているかの形式表明である。一般に物理学では、ある時空点の状態はその状態の有限次の微分、つまり時空点から無限小の世界間隔の情報によって決定されるという局所因果律によって記述される。これは量子論になってもかわることはない(状態と観測値は別の概念であることに留意されたし)。

時空は状態を格納する入れ物(アドレス)のように扱われることが多いが、状態自体と独立に宣言される配列の類ではない。一般時空では時空は唯一究極の状態量であるエネルギー(物質)分布によって規定されるが、状態、すなわちエネルギー(物質)分布は時空の構造によって規定される相補的な関係にある。

いくつかの高次元重力理論で見られるような、時間が複数軸ある理論では状態の決定は初期値問題から境界値問題になり、「時間」の意味するニュアンスはまったく異なるものへと変貌する。その場合時間は一本道の決まったルートではなく、奇妙な多次元の構造体。時間が複数あっても適当な時空設定の元では我々の感じるスケールで時間が一本であると近似されるように設定することは可能。