さまざまな量子補正の集積としての質量 (場の量子論)

 L_{YM}=\frac{1}{4}F^{\mu \nu}F_{\mu \nu}+(D_{\mu}\phi)^{\dag} (D^{\mu}\phi)-V(\phi)

真空の自由度に注意せよ、自発的対称性の破れにより質量が生じる。

量子論、すなわち原子核レベルで顕著になるが、観測値としての質量は不変な一定値ではなく*1不確定性原理により一定の幅で広がったものとなる。短い時間なら光が"質量"を持つかのように振舞うことだって可能だし(off-shell)、(符号にあまり意味はないが)マイナスになることもできる。また、質量は場のレベルなら幾つかのスカラー場のように虚数になることも許される。そして質量は見るエネルギースケールによって変わる。これらは理論上も実験上もそうだ。またカイラル対称性の破れや適当な粒子との湯川結合によって動力学的に作られる。質量は物が存在する限り当たり前に付随する自明の存在ではなく、様々な相互作用がせめぎあう中で表れる仮想的なパラメタだ。

*1:「off-shellでも"質量"は変わんないじゃん」という突っ込みが入る前に一応弁明しておくと、q^2がm^2と一致しないよという程度のニュアンス。(観測される)質量スペクトルに幅ができるという程度の話。実に不正確で混乱を招く表現といえばその通り。