無敵物質候補

物質の硬さは究極的に電子同士の電気的な力を超えることは無い以上、通常の原子で構成された物質をどう組み換えても強度が現状の1万倍になったりはしない。なので、とりあえず通常の原子以外で構成された物質を考える必要があるのだが、なかなか難しい。

他のクォークで構成されたエキゾチック核やミューオン原子とかなら変な性質を示すものもあるが、寿命が短い。例えば、純粋に理論的な話だが原子を構成する電子の代わりにミューオンとよばれる素粒子で置き換えた物質があったとすると、その物質は通常の物質の数百倍の強度(と1ccあたり数トンの密度)を示すだろう。しかしその寿命はマイクロ秒のオーダーだ。そもそも長寿命なら自然界に普通に存在している。

もしかするといまだ知られざる、完全物質があるかもしれない。しかしそれらが中の人を守るには、それなりに我々の物質に近い必要があることが要請される。まず、電荷が必要。電荷とは光子との結合を表す指標であり。無ければ光はその物質と反応することなくすり抜けてレーザーが中の人を直撃するだけだ。それに我々が地球の中心に落ちていくことなく地面に立っていられるのも、鉄砲の弾が金属板で止まるのも原子同士の電気的な反発によるもの。超物質が通常の物質と仮想光子による交信をしないほど異質であれば、その超物質が地球の中心に落ちていくなり、地球の自転に追随しないで宇宙の果てに等速直線運動で飛んで行くことを何者も妨げない。

そして、その他の相互作用も必要になるだろう、でないと中性子ビームが防げないので。それはフレーバーとカラーが共通で交換しうることを示しており、となると表現の次元は、まぁ、どうなるかしらないが、我々の想像を超えた物質では無い、恐らく。その超物質がどんなに無敵で強固であろうとなんらかの阻止能を持つには、我々と相互作用できる程度には近いことが期待される。そして、相互作用、すなわち我々の世界の物質と反応する以上、そこに鉄壁の防御を崩す糸口はあるだろう。