異邦人

機内で紫禁城の黄昏を読んだ。ちなみに読んだのは岩波版の方であって下の写真のものではない。

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

本書は清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀、彼にとってそれなりの存在であっただろう英国人帝師R.F.ジョンストンの視点でとらえた記録であり、100日変法から亡命、いくつかの事変、そして例の「満洲国」に至る帝室とその周辺の動きを想像する上での重要資料であると同時に、ジョンストンの思想や人となりを色濃く反映した自伝でもある。

本書は扱っている内容のセンシティブさゆえしばしば意図的な引用と政治利用の対象となる傾向にある。監修やアマゾンの雰囲気を見れば推して知るべしだが、現在の中国東北地方にかつて存在した満洲国を論拠づける上で一定の役割を果たしたとされる。著者は書かれた当人がこの書籍によってその後どのような利害や扱いを受けるかについてどの程度想像していたのかは興味のあるところだ。

関連資料については溥儀本人の著述ということにされている「我が半生」を無視することはできないだろう。紫禁城の黄昏とは2つでセットのようなもの。大学に入る前に本屋で少しだけ立ち読みしたが、その時は金銭的な都合により買うことは無かった。今度読もう。世間的には映画「ラストエンペラー」の方がかなり有名だが見たことは無い。

わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)

わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)