文理を問わず線型代数は1日で習得できる説

人文社会学系の某氏が統計学用途で線型代数が必要になったようなので付き合ってみる。
使った教科書は最も正統的な教科書であるところの斎藤正彦の「線型代数入門」、まさに教科書の教科書だ。

線型代数入門 (基礎数学1)

線型代数入門 (基礎数学1)

文系の場合だと高校でIIICを習っていないなど理系と課程が違うため、最初の導入が上手くいくか警戒していたがわりとすんなり行く。今回は2〜3時間程度だったので基礎的な部分を押さえただけだが、1日あれば十分に習得できる実感を得た。彼をよび私の知る何人かの数学レベルを人文社会学系学部卒の標準的なサンプル *1 として考えるならば、学習への意志が存在する限りそれほど苦労はしないだろう。

  1. 線型代数を習得するのに必要なコストは理系とそれほど変わらない。
  2. 線型代数の習得には高校内容のフォローを特に必要としない。
  3. 学習に必要なのは約1日
  4. 理工書は一人で読んでもどこかで躓くとそこで止まってしまい効率が悪いので、マンツーマンで一気にすすめると能率的。

この様子だともうひとつの柱である微分積分学を習得するのもそれほど困難な事ではないだろう。線型代数微分積分学があれば経済および理工系の基礎的な数式は大抵読めるようになるが、微分積分学のサポートについては特に要請されていないので押し付けるつもりはない。

*1:人文系の線形代数学習の標準的なモデルケースというが、一応、「東大での事例」という限定条件はつく。一般的な文系大学生に議論を拡張した場合、結論がどうなるかは私の知るところではない。私の数少ない個別指導の経験と比較する限りでは、前者に教えるほうが飲み込みも早く前回やった事をきれいさっぱり忘れたりしないので比較的楽だという実感はあるので、後者では線型代数の習得コストに多少ファクターが掛かると予想される。