レールガン:なぜ、今、長距離砲を?

聞いた限りでは、ザ・ニッチといった感じだ。米海軍は東京から高知を砲撃できる長距離砲を所望だそうで、15kgの弾頭重量と64MJの計画エネルギーからみて衛星や地上固定目標の破壊が主目的だろうけど、軍事のことはよくわからない。代用トマホークとしての用途もあるそうだけど、長距離砲である性質上精度の問題は付きまとう。エクスカリバー(誘導砲弾)のようにGPS誘導にするのも、熱の壁や射出速度を考えるとそんなに機器設計が簡単だとは思えない。

それ以前に、電力効率を考えても軍事用途でつかうのはどうかと思うし、これだけの出力でキャパシタや砲身寿命がまともなものになるのかは怪しいが、あっち畑の人たちには何か考えがあるのだろう。イラクのプロジェクト・バビロンによるスーパーガン(多薬室砲:ムカデ砲)のように地上固定のへんなのをつくるならともかく、車両や艦船での電力供給は限定される。SFや仮想戦記などではトンデモ並みに誇張されていることが多いが、威力や貫徹能力という観点ではSDBあたりを想定するのが適当だろう。

秒速数キロのオーダーの衝突現象になると、物質固有の強度はあまり意味を成さず液体のように振る舞うようになるので、これ以上弾速をあげたところでコストと射程は伸びれど侵徹能力の向上は非常に鈍い。特に小質量になりがちなレールガンでは、貫通力を期待するのは難しい。他方、解放エネルギーと射程ならすでにミサイルがある。億のオーダーであるミサイルに対して砲は一般に低コストという強みがあるとされるが、レールガンを構成する電源システム、砲身寿命と交換サイクルを考えるとコストメリットは微妙な気がする。


[追記]
射出衝撃に耐えられる電子機器あるの?とおもっていたら、ちゃんとGPS誘導するみたいですね。