人間サファリ

中朝国境で流行する「人間サファリ」(上)

 中朝国境・鴨緑江の河口近くにある中国側の都市・丹東。夜になると川向こうの新義州は暗闇に包まれ、一方の丹東は派手なネオンがきらめいている。北朝鮮政府が経営するレストラン、脱北者たちの隠れ家、韓国のビジネスマンたち、そして出張に来た朝鮮労働党の幹部たち…ここは南北の人やモノが入り乱れた場所だ。1週間にわたって激しい雨が降り続いていた2007年8月9日、取材班はここで奇妙な観光ツアーを体験した。中国人の案内人が「人間動物園」「人間サファリ」などと呼ぶそのツアーは、鴨緑江北朝鮮側の島・于赤島の住民たちを見物するというものだ。

中朝国境で「人間動物園」と称して北朝鮮住民にソーセージなどの餌をやるツアーの話。情報が遮蔽されているだけで、このような状況は国と時代を問わす21世紀に入っても絶える事なく発生しているマターではあるが、それが記事として商品化され、それを消費している何万という二次的な観客が世界中に存在する不気味さは記憶しておく。「これはひどい」「あんまりだ」などといったり、色々考えたりして消費するだけ"観客"の中には当然私も含まれている。