地球は平面である


世界は平面であると最初に主張した人間は天才だと思う。私たちの生活空間はこんなにも凸凹しているのに、数百キロという大域的なスケールでは平面と見なせることに誰が最初に気付いたのだろう。世界は日本列島全てを平面の地図で表現して支障がでないくらい平面なのだ。

それに較べれば地球が丸いことなど、数千キロレベルで支配的になる二次補正項に過ぎない。

最初に、国レベルの地図を作った数千年以上前の人たちは、世界の平坦さに驚いただろうか。それともその頃には既に自明のこととして受け入れられていたのだろうか。もしかすると、多くの生物にとって普遍的な認識なのだろうか。

世界のトポロジーに関する科学史をよく知らないので憶測まじりだが、古代から現代に至るまで世界の構造とは重力秩序の問題であった。世界が平面である根拠として多く用いられたのが、「世界が傾いたり丸かったりしたら物が転がったり落ちていってしまう」という主張だ。その影響を真っ先に受けるのは海や池であり、世界は文字通り”水平”でなければならない。

世界が重力に対して水平であることを根拠にした主張は、重力が一定方向であるという大前提が覆されることで崩壊した。

そして、今、私たちは宇宙の平坦さについて議論している。宇宙のトポロジー、あるいは大域的な曲率はどうなっているのだろうか。現在、観測可能な宇宙は恐ろしく平らだ。重力理論は閉じた宇宙も開いた宇宙も許しているのに、限りなく平坦な宇宙を世界が指し示しているのは何故だろうか。これに対してスタンダードな説明の地位を占めているインフレーション模型はこのまま勝利を収めるのだろうか。

インフレーション的な意味で、私たちの世界は恐らく地平線を越えて数千億光年にわたって平坦だろう。その先の世界は知らない。