日蝕見たい、日蝕見たい、日蝕見たい

月が地球から遠ざかっているので地上から皆既日食を見られるのもあと2億年と迫った今日この頃ではあるが、いまだに皆既日食を体験したことがない。せいぜい、88年の部分日食を観測したことがあるくらい。

昼間だというのに空がひんやりと星を満たして暗くなり、100万℃で輝く白い翼を広げた黒い太陽が静かに浮かび上がる。そんな光景を余すことなく体感するには、映像だけでは不十分で、皮膚感覚と自由な視野が必要だ。

小学生くらいの頃は、「日本で見られるのは2009年か、遠いぞ」と九十九里から南極大陸を眺める気分だった。10年くらい前はそんなことすっかり意識していなかった。今年の初めくらいは、割と楽観的に捉えていた。平日とはいえ1〜2日ぐらいなら何とか工面できるかもしれない。金星の日面通過の時もミール落下のときも曇りで悲しい思いをしたので、こんどこそ晴れるといいな、と。

それからいろいろあって、今月のスケジュールを調整する際に、私はキッパリ未練を捨てて見に行かないことにした、筈だった。

げに恐ろしきは執着なり。


問題は、この政治情勢下でのハッピーエクリプス法緊急立法の可能性と、月が量子論的ほにゃらららでワープして日蝕が土日にずれ込む可能性、どちらの奇跡が起こりやすいかだが。