異邦人

機内で紫禁城の黄昏を読んだ。ちなみに読んだのは岩波版の方であって下の写真のものではない。

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

本書は清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀、彼にとってそれなりの存在であっただろう英国人帝師R.F.ジョンストンの視点でとらえた記録であり、100日変法から亡命、いくつかの事変、そして例の「満洲国」に至る帝室とその周辺の動きを想像する上での重要資料であると同時に、ジョンストンの思想や人となりを色濃く反映した自伝でもある。

本書は扱っている内容のセンシティブさゆえしばしば意図的な引用と政治利用の対象となる傾向にある。監修やアマゾンの雰囲気を見れば推して知るべしだが、現在の中国東北地方にかつて存在した満洲国を論拠づける上で一定の役割を果たしたとされる。著者は書かれた当人がこの書籍によってその後どのような利害や扱いを受けるかについてどの程度想像していたのかは興味のあるところだ。

関連資料については溥儀本人の著述ということにされている「我が半生」を無視することはできないだろう。紫禁城の黄昏とは2つでセットのようなもの。大学に入る前に本屋で少しだけ立ち読みしたが、その時は金銭的な都合により買うことは無かった。今度読もう。世間的には映画「ラストエンペラー」の方がかなり有名だが見たことは無い。

わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)

わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)

使った本人が寿命を縮めるほどの技って

1回や2回の使用で寿命が10年縮むとか具体的には何がおきてるんだろうね。

その技を使うと術者が死亡あるいは重大な障害を負うというのは比較的設定しやすいが、「寿命が縮む効果」というのは極めて難しい。術者が即死すれば寿命が縮んだとは普通いわないし、障害が発生しても死を早める方向に働かない限り寿命とは関係ない。出血多量や半身不随になっても別に寿命が縮むわけではない。

「平均して80歳生きられるようなものが70歳ぐらいになる副作用」なんてどうやって設定するのだろう。このくらいの年齢での主要死因としては、循環器系の障害や癌が上げられる。これらの発症が早まるとすれば、どんな技の副作用だろうね。「この技を使うと肝硬変のリスクが増大します。」「この技を使うと動脈硬化が進行し脳卒中のリスクが増大します」「この技をつかうとテロメアが短くなります」とか?

もうひとつの可能性としては通常は主要で無い別の死因、それも70、80で効いてくるような死因のリスクが極度に高まることで平均寿命を押し下げるというもの。例えば長期的な喫煙による肺がんリスクの向上のようなものだ。しかし、慢性的な生活習慣の結果ではなく、一発の使用で数十年後の健康リスクになる必要がある。

「寿命が縮むほどの副作用」の可能性として、術者が軽度の薬物依存になるというものがある。あるいは発生した障害に対する長期的な医療行為の副作用が、別の健康リスクになるという可能性はある。何十年にもわたり痛み止めの使用を余儀なくされ、その薬が別の重大リスクを誘発するというケース。

技の使用に伴う放射線障害や化学汚染(砒素中毒とか)は十分に考えられる線。ただ、その効果が急性致死ではなく、数十年後の致死的な健康リスクとなるように設定される必要がある。数十年後の障害の要因となったとしても死因に積極的に寄与しない限り寿命を縮めたことになならない。一発の化学侵食では単なる急性中毒に終わるのが関の山。

[2] 頻繁な技の使用による職業病
職業病のように何年にもわたる恒常的な使用が複数の機能障害や慢性病の原因となることはある。工場でアスベストの慢性的摂取による肺がんリスクの向上や力士の(ryなどがその例。何十年もその技を使い続ければ、動脈硬化、肝硬変、放射線障害、代謝系異常、多臓器不全。などなどが起こるものがあっても不思議ではない。ただ1・2回で動脈硬化を進行させたりするのは難しい。