携帯で墜落?航空機は電磁波テロに弱いのか。

飛行機は携帯電話やゲーム機などの通信機能をもった電子機器から深刻な影響を受ける場合があるとはよく言われる。「ある周波数である出力の電波源があるとほにゃららの確率である機器が誤作動する。一方対照実験では・・・」というような感じで実験的に明白な因果関係を再現できるわけではないようだが、「乗客の携帯を停止させたら通信障害が直った。」というような消極的な支持材料は何件か蓄積している。(乗客が通信機器をとめたのと直ったのが同時だったケースばかりが注目されているだけで、実際には無相関かもね。)いくつかの墜落事故ではこの手の電子機器が原因になったと推測している人もいる。

もし携帯の電波程度で飛行機が落ちるとすると、「例えばテロリストが電化製品に模した電子レンジクラスの発信機を多数持ち込んだら、簡単にテロが起こせてしまうのではないか。」というような警戒を抱くのはそれほど不自然なことではない。

しかし、実際には以下に述べた理由により対処は可能だろう。

  1. 電子機器起源障害の多くは無線機器の通信障害であり、機体の制御を不可能たらしめる性質のものではない。機体が壊れたりエンジンが火を噴くわけではない。機体の空気特性は損なわれず、また手動制御が不能になる訳ではない。
  2. 現在の被疑事象の頻度を見ればわかるように障害が発生する確率は0ではないにせよ小さい。障害の発生率は低くテロは現実的ではない。
  3. 航空機に搭載される手荷物/貨物は検査されるうえサイズに制限があり、また、チケットなどから犯人の身元を探りやすい。「病院に何者かが強力な電磁パルスを照射して集中治療室の機器を完全に破壊した」といったケースとは違う。