(メモ)英仏の核戦略について

米ソ中の核戦略はわりと知られているが英仏の話はあまり聞かない。けっこう事情は複雑なようで素人の私にはよくわからない。冷戦前後の情勢変化、対米関係やNATOの位置づけおよびEU全体との絡みで各国の思惑が流動しているそうだ。

  1. フリーライド:米ソという枠組みの中では、英または仏による東側陣営への核攻撃は即座に米ソ間の核戦争に拡大する蓋然性を有するものであり、これはアメリカの核ボタンを使用する権利を有しているのと同じ。
  2. 担保:莫大な損失を恐れいざというときにアメリカは黙殺するのではないかという警戒は、日本や台湾だけでなく欧州でも共通のフレーム。限定核戦争で終わることなく速やかに米本土を巻き込むのはソ連との戦力差を考えれば死活問題だが、独自の抑止力もある程度担保しておきたいという思惑。
  3. パワーバランス:EU内における保有、非保有国を含む各国の微妙な綱引き。フランスの核をヨーロッパの核にしようという欧州抑止論と政治力学的な思惑。(欧州をフランスの核の傘の元に)
  4. 新たな理論化の模索:冷戦後はわりと曖昧模糊としている。対中東・アフリカにおける潜在的なな脅威因子への抑止などを視野にいれつつ、何はともあれ抑止力は維持するという方向で推移。今後50年でどこまで核拡散するかへの見積もり次第。
  5. 番外:米英の思惑が交差するカナダという存在について。米核戦略上の位置づけおよび、イギリスの核開発においてカナダの果たした役割。
  6. 信頼と不安:より高性能で強力な米国の核の傘があるにもかかわらず敢えて、独自の傘をもつ理由。単純化しすぎな感もあるがGPSガリレオの関係なども含めて。
  7. 軍縮ソ連という脅威が無くなってあからさまに削減されつつある。第一目的はソ連のヨーロッパ侵攻阻止であっているようだ。
  8. 地位権問題:欧州に配備された米核戦力の使用権限に関する配備国との地位整備。使用には実質的に両者の合意が必要らしい。国によって差はあるかもしれない。
  9. 米軍:欧州における米軍および米核戦力の位置づけおよび冷戦後の動き。主要核戦力が海上にあることと使用権限の性質からして目的は限定される。