サウジアラビア王立大学、KAUST について


KAUST - King Abdullah University of Science and Technology
http://www.kaust.edu.sa/

中東の科学動向をヲチしている方々にはいまさら感があるだろうが、アブドゥラ王立大学を紹介してみる。

21世紀はイスラームの時代と言われて久しく経済的な発達は著しいが、科学の分野における存在感はお世辞にも大きいとは言えない。かつて世界の頂点にあったイスラム科学の栄光も今は虚しく響くだけ。

そんな立ち遅れた状況を打開し、イスラーム圏の頂点ひいては世界に冠たる最強の理工系大学を立ちあげるべくアブドゥラ国王がポケットマネー1兆円を投じて立ち上げたのがこの大学だ。日本で皇室がポンと1兆円だしたりすると・・・、調達できたとしてもいろいろと風向きとか調整があって難しそうだし、そもそも社会構造というか富の分布的に・・・まぁ、この辺はサウジらしいなぁとつくづく思う。

KAUSTは自由な研究風土を醸成し世界中から超一流の人材を集めるためにイスラーム圏においては珍しく男女共学であり、完全な私立大学(?)として政府からの予算干渉などを排除し、高度な学内自治が保たれる。また女性は禁止されている自動車が解禁されており、宗教警察も立ち入れないなどさながら治外法権特区と化しているという話だ。

外界のあらゆる干渉から守られ砂漠の中に佇む自由な学究達の庭園、これほどまでに戒律を緩めるのは厳格なイスラーム社会の枠組みではかなりの冒険といえる。それゆえ失敗すれば批難は免れ得ない。国王の肝いりというだけはあり、2009年9月の開校に向けて世界中の大学に研究公募を募っており、何気に東大にもKAUSTの公募が貼ってあったりする。

サウジを含む湾岸産油国は先行きが不透明で不安定な原油依存経済から脱却し、観光や科学技術・金融による社会への転換を目指しており人的資源やインフラへの投資熱が熱い。クェートやドバイのクレイジーインフラ投資を含め、仮初のオイルマネーを永続的な資産へと転換しようという一連の流れに位置づけられる基幹大学だ。