二つの星がくっついた黄色食連超巨星の話
すこし天文分を補給。
「ピーナッツ型連星系」発見される スラッシュドット・ジャパン
LBT Discovery of a Yellow Supergiant Eclipsing Binary in the Dwarf Galaxy Holmberg IX1
宇宙にある恒星の恐らく半分が連星であることは優れて汎銀河的な教養であるが、残念ながら地球上では天体観測している人間ぐらいしか知らない瑣末なトリビアだ。連星同士の距離は冥王星軌道より遥かに長いものから、星の直径の数倍しかはなれていないものまで様々ある。中にはお互いに接触するまで接近している連星もあり、蝕連星(Eclipsing Binary)とか接触連星(Contact Binary)なんて呼ばれる。どちらかというとContact Binaryの方がメジャーだろう、多分。
上の写真をみると安定なのだろうかと不思議に思う人もいるかもしれないが、恒星、特にに巨星まで進化した星はその質量の大部分をコアに集中させている。そのため基本的に2つの質点で構成される回転座標系の重力ポテンシャルと同じだ。そのまわりをぼんやりとロッシュローブを満たしてあふれるような感じで外層ガスが覆いピーナッツ型の恒星が形成されている。
Contact Binaryの表面は静水圧平衡により当ポテンシャル面で等温・等圧となっており、お互いの質量によらず等しい輝度で輝いている。回転速度がRΩであらわされることからわかるようにドップラーシフトは回転軸からの距離Rに比例するため、スペクトルの広がりは星の形をそのまま反映してひょうたん型になるのが面白い。もちろんその進化が極めて特徴的であることは言うまでもない。