USBメモリも売っていないコンビニなんて

「無い・・・無い・・・」と、ションボリしながら、近所のコンビニや24時間営業のディスカウントストアをはしごする。時に、休日、夜中である。

使いもしない消しゴムはどこでも売っているのに、USBメモリは皆無だ。大学購買の商品陳列に洗脳されて、すっかりUSBメモリを文房具だと見なしていた。筆記用具の一種でティッシュペーパーや雑記帳とおなじ消耗品だった。どこにでもあるものだと信じていた。

雨が冷たい。帰って寝たくなる。

どこで間違えてしまったのだろう。研究室のどこにでも転がっている石ころぐらいに思っていたUSBメモリが今は愛おしい。

みんな、USBメモリが必要になったらどうしているのだろう。ありふれたものでありながら、これだけ売っていないところをみると、一般家庭でのユーザーが少ないのか。もしくは、携帯に準ずるくらい後生大事に一つの物を使い回しているのかもしれない。少なくともその辺に落ちている使い捨てメディアの扱いではなさそうだ。

テラバイト以上のディスク領域が供給され、研究室で実効100Mbps以上、自宅でも30Mbpsが確保された時代になってから、USBメモリや CD-Rの類をあからさまに無視してきた。物理メディアとしてのCDはイメージファイルさえ作れば用はない。バックアップはディスク間で行えばいい。データのやりとりはファイル転送やネットワークサービスでいくらでも代用できるし、何よりそっちのほうが便利で速い。DVDを焼く必要なんて無い。簡単なドキュメントならGoogle Docsで十分だし、ちゃんとしたドキュメントならTeXを使う。そんなHDD&ネットワーク至上主義は不意の事態に空転する。

買ってきたばかりのPCに入れたあるソフトが、執拗に保存先のリムーバブルメディアを求めて泣きやまず、仮想ディスクを設定するのも面倒そうだったので、「仕方がないなあ。おしゃぶりくらい買ってやるか」、と、軽い気持ちで外に出たのは1時間前のことだった。