AEROSCRAFT ML866とかいうハイブリット飛行機について。

飛行船と飛行機の合わせ技 [aeroscraft ML866]

http://japanese.engadget.com/2006/02/17/aeroscraft/
http://www.aerosml.com/Aeroscraft%20Info.asp

ハイブリット飛行機というとマンタみたいな小型機の例しかしらなかったがどうも大型機をつくるそうだ。重量を胴体の揚力(1/3)とヘリウムの浮力(2/3)の両方で支えることにより、飛行体では前代未聞のサッカーコートサイズの自由空間と500トンのペイロードを実現し、低コスト、低騒音、低燃費で時速280キロで移動する。50億円という価格は大型旅客機とくらべてもリーズナブル。

富裕層向けで優雅に天空を駆ける豪華客船と宣伝しているようだが、ダーパがダーパダーパしているところをみると別の用途かも。ラピュタの飛行戦艦が脳裏に浮かんだのはさておくとして、域内輸送事業でならある程度成り立つ可能性はある。

メリットは

  1. トラックや貨物列車より速い。
  2. 飛行機よりも安くて大量に運べる。
  3. 空中輸送で最大のペイロード
  4. 垂直離着陸
  5. 低騒音

これらを総合すると海から遠い内陸地で鉄道などの大量輸送機関が発達しておらず、近くにめぼしい空港もない僻地に大量の物資を輸送するといった用途では強そうだ。「すばる望遠鏡」の観測装置一式をマウナケア山頂まで運ぶとか、南極基地まで物資を運搬するとか、列車や小型船舶を空輸するとか、空中望遠鏡(上空は大気と水蒸気の影響が小さい)とかいろいろと考えてみた。アレゲな用途では弾道ミサイル迎撃の為にジェット機に入りきらないほど大型のなレーザー発振装置が必要になったときとか?

軟式飛行船でここまでやるのは初めての試みだ。20世紀初頭、タイタニック号と同じ大きさの飛行船が大西洋で豪華客船と鎬を削っていた時代も今は昔、飛行船ももはや一社が製造するのみとなった。復権なるかといったところだが、ヘリウムが恐ろしい勢いで高騰しつつあるので今後も経済的にペイする情勢はわからない。


デメリットは

  1. 飛行機よりは遅い
  2. 悪天候に弱いとみられている
  3. ヒンデンブルグの呪い

かつて、大西洋航路に置いてどれだけの飛行船が遭難したかを思えば、技術革新があるとはいえ悪天候には神経質にならざるを得ないだろう。ハイブリット飛行機は通常の飛行船(硬式飛行船含む)よりは速いとはいえ、飛行機よりは圧倒的に遅く断面積も大きい。ミサイルの技術は発達しており21世紀においても軍用はリスクが高いだろう。

結論としては、成層圏プラットホームの実現は遠く、ヒンデンブルグは巨大だし爆発した、飛行船よりは速くてペイロードも大きいが空中戦艦は妄想、と。