学会でトンデモ講演を聴く

何時間もD-termとかKKLTとかmoduli構造だとかexternal極限なんて言葉を聞いて辟易としてきたので、気分転換にいわゆるトンデモセッションに向かう。学会は一応学会員ならだれでも発表ができる、ただしトンデモ系だったり残念な発表は一カ所にまとめられて隔離されている。

入って早々の第一印象は、「ひでー客層だな・・・モヒカンだらけだ。」といったところ。死の綱渡りをやっと渡りきった人間をガラスの向こうから優越とともに眺めてるようなニヤニヤを微かに含ませた笑顔の数々が着席している。まるで見世物小屋に来てしまったかのような気まずさと期待が交錯する。

で、講演が始まったわけだが、さっぱり分からないので涙が出そうになる。はじめて超弦理論を本格的に勉強したときの比では無い。とりあえず余弦定理は間違っているらしい。いきなり a^2=b^2+c^2-2bc \cos A を批判ですかい。(中略)値を代入すると分母がゼロになるがこれは代入してはいけないらしい。数学の限界を示しているとか。あと、ベクトルはスカラーに代入できると主張し、実際に代入する。私の脳内コンパイラはとりあえずエラーを履いて停止したけど、講演者曰く相対性理論が関係しているらしいよ。ベーコン主義によるらしいけどこんな思想だったっけ。ベーコンにあやま・・・その後、素粒子がどうのこうのとかいっていたけどさっぱり理解できなかった。質問に対しても「円に接線を沢山引くと非ユークリッド幾何学で、物理学における対称性を示しているとか」正確に意味不明な返答が帰ってくる。

あまりのピエロっぷりに、ポーカーフェイスな聴衆もさすがに一部は耐えられなくなったようで、クスクスという嗤いが時々もれる。トンデモセッションに行ったのは初めてなので軽い衝撃を受けた。何が彼をこうさせてしまったのだろう、あれを聞いていると何かの疾患のような気がして背筋が寒くなった。