WESは本当にトンデモなのか

周回遅れ感もあるが、今話題のウォーターエネルギーシステム:水からエネルギーを取り出して走るという画期的な装置だ。実現すれば人類の未来を変えるどころではすまないという。

水から電流を取り出すことを可能にした新しい発電システム「ウォーターエネルギーシステム」を見に行ってきました - GIGAZINE
にわかには信じられないのですが、「ジェネパックス」という会社が、直接水を供給することによって発電する「ウォーターエネルギーシステム(Water Energy System)」(略称:WES)というのを開発することに成功したそうです。

これはいわゆる水素燃料電池の開発を背景としており、水素燃料電池と比較すると水素発生にかかるコストが少なく、CO2の排出もないとのこと。また、貯蔵に関する安全性の問題がないため、広く普及することが期待できるそうです。本当なのでしょうか?

GIGAZINEを「へ??」といった感じでさらさらと流し読みしていたが、途中にあったこの画像の左側にある「化学反応」という風味豊かな記述に超反応した。主流派の科学理論に毒されたつまらない身上としては反応せざるを得ない。「そんな釣りにク(ry」と危うく脊髄反射的にエントリを書くところだった。

  1. (特許的な意味で)決してNGワードを言わないしたたかさは凄いと思うし、背後の人間関係が気にならないわけではない。
  2. 利害や市民への成果アピールという行政のリアルや経済原理の前では、科学的検証なるものがいかにナンセンスで無力であるか、というお話でもある。穴掘って埋めるのと永久○関に投資することの経済効果が変わらないのであれば、より票田のリアクションが高い方を選ぶことは自然だ。その点、WESは十分にペイする水準を備えている。
  3. 普段なんの役にも立たないと言われている私たちの研究が、(倫理的にはどうあれ)鴨から虎の子を巻き上げ、高学歴ワープアを何人も養えるほどのキャッシュに化ける潜在性があることは記憶に留めておいていい。

ただ、その手のお話は議論好きな人たちがやっているだろう。とりあえず冷静になってスルーし、他の仕事に取りかかって寝たわけだが、起きたらそこら中で話題になっていて驚いた。まさか、この人のところでもという場所でも取り上げられている。

永久機関とは、装置ではなくそのニュース自体が永久機関だ。どれだけ検証されようとも、何百年という時間が経過しようとも、どんなに困難な条件下でも、発明の報はフリーエナジーのように自発的に生成され、まるで電子雪崩のようにその何倍ものリアクション出力が反響する。ニュースレイヤーではトンデモどころか立派に"永久機関"は恒常運転している。第一種・第二種どころの話ではない。そんな夢をみた気がする。