織姫星と彦星、どこから来てどこへ行く?
地球史において星空の主役は次々といれかわっている。遠くからも見える明るい星はすぐ燃え尽きてしまうし、何十億年と寿命がある普通の星は暗くて太陽系とニアミスする一瞬だけ1等星になる。
アウストラロピテクスが地上を歩いた500万年前、ベガとアルタイルは夜空を代表する星ではなかった。いまよりずっと遠くにある微かな星だった。
織姫と彦星と太陽はそれぞれ独立に銀河を旅し*1、たまたま私たちの時代に最接近している。2つの星はかつてそうであったように遠い未来には天の川の微かな一粒へと溶ける。ベガとアルタイルの最後の地を地球から肉眼で見届ける者はいない。
Hubble Space Telescope による夏の大三角形:やや左上がベガ(織姫)、中央下がアルタイル(彦星)、左下がデネブ
織姫と彦星は後者が4倍くらい長く生きる。それぞれ6億年と24億年くらい。彦星の寿命を80歳とすると、織姫の寿命は20歳、天の川で両者をへだてた張本人である天帝(北極星*2)の寿命は1歳だ。神話世界のSF技術のせいか天帝は自分の娘より若い。
絶大な権力を持ちながらレプリカントのように短命で娘から遠ざかる一方の天帝は、何か思うところがあったのか織姫と彦星に一年に一度、さっきのモノサシでいうなら1秒に1回あうことを許可した。
半年あいてしまって、いつのまにか七夕の季節。