東京バベルタワー:10000mの建造物
高度1万メートル:エベレスト/チョモランマより高く対流圏の終わるところ、気温は零下50度、大気は地上の4分の1、ジェット機が飛ぶ高さまで聳え立ち、関東一円の人口を吸収できる建造物のプロジェクトをご存知だろうか。
バブル期の黒歴史になってしまったのかもしれないけど、東京バベルタワー(Tokyo Babel Tower)に関する情報ってネット上でほとんどないよね。ゼネコンの考えたSkyCity (清水建設)やXeed4000 (大林組)大成建設の資料は残っているのに、バブルの極北たる東京バベルタワーの解説ページが皆無だとはね。あの時代の独特の空気を代表するプロジェクトがこのまま歴史の闇に葬られるのは忍びないし、ちょうど発案者が今年で退任なされるということで記念に基礎データいくつか資料を引用しておく。
- プロジェクト名:東京バベルタワー
- 提案者:尾島俊雄 早稲田大学教授
- 提案:ブラジル環境サミット(1992年)
- 建設場所:東京
- 地上高:10000メートル
- 居住人口:3000万人
- 建設費:3000兆円
- 建設期間:100〜150年
- 基底部面積:110km^2
- 総床面積:1700km^2
- 鋼材使用量:10億トン
建設期間を考えると年間20兆円の建設予算が必要だ。バブル期の日本の建設業界は60兆円市場であり、当時の国力をもってすれば原理的に建造不可能ではない。建築資材の強度と安全係数ではかなり厳しい水準が要求されるが、起動エレベータのように総カーボンナノチューブ製みたいな妄想をしなくても済むし、現在の技術で"実現可能な"建造物としては究極に位置する建物だ。あくまでもコンセプトモデルだけど、こんな提案ができる時代ではあったようだ。
- エネルギー効率が非常によいので環境問題に(ry
- 土地効率がすごいので、関東平野の莫大な土地が開放される
みたいなことを主張していたみたいだよ。建築屋として考えてみたかっただけというような気もするけど。
- 全館空調が壊れました的なパニックムービーを期待
- 建設期間が150年ということは、耐用年数を考えると永久に建造&補修し続けることになるそうだよ
- けっこう骨組みばかりでスカスカ、日照権の問題はあまりない。というか中を低層建築なみにみっちり詰め込むと、収容人口が50億人を超える。*1
*1:体積は高さの3乗、一辺が100倍になれば体積は100万倍。100mビルで5000人→10kmビルで50億人