さて、地球破壊爆弾の設計書

22世紀の超技術を用いずとも、頑張れば地球破壊爆弾を作ることはできるだろうか。反物質は保存が難しく、現在の技術でとても手に負える代物ではないのでとりあえず除外する。次に考えられるのは、威力を無限に上げられることになっている水爆だが、地上にある重水素を可能な限りかき集めて作るとどこまでいけるだろう。地上にある海水の総重量は1.4x10^21[kg]であり、D/H=1.5x10^-4とすると、地上にある重水素の総量はざっと20兆トンといったところである。とりあえず核融合による生成エネルギーを1[MeV/A]程度とすると、2x10^30Jくらいになって地球破壊爆弾には2桁ほど足りない。地上の重水素をすべてかき集めても500兆メガトンの威力が限度だ。

ただ、例の400km隕石の200倍のエネルギーだ。地殻は完全に融解し文明と生命の全ての痕跡は一掃される。月ぐらいなら吹き飛ばせるかもしれない。爆発のエネルギーがどれだけ逃げるかにもよるが、月の自己重力エネルギーは地球の1500分の1だ。

地球破壊爆弾木星などのガス惑星から大量の重水素を集めてくれば原理的には不可能ではない。直径1キロの水爆が100万個ぐらいあればエネルギー的には足りる。地上の重水素をすべて消費して1万個、エウロパの氷をすべて消費して数千個。ガス惑星はほぼ無尽蔵だが、重力井戸が深い。